Section00 : 繋ぐ。

シリーズ目次


Pi Linux Lab ~ Network の始まり
― Linuxベースで「繋ぐ」技術を身につける

このラボでは、Linuxのコマンド操作を軸に、ネットワークを
観測→切り分け→復旧 する技術を学びます。

ポイントは「詳しい理論」ではなく、実務で必要になるこの力です:

  • いま何が起きているかを、コマンド出力(証拠)で確定する
  • どの層で壊れているかを切り分ける
  • 直して再発防止できる形でログを残す

実務で困るのは、こういう瞬間です

  • SSHが急に繋がらない(昨日は繋がったのに)
  • IPアドレスではつながるのに、ホスト名だとつながらない
  • 同じ設定のはずなのに、PC間で挙動が違う
  • 直結は繋がるのに、ルータ経由だと不安定になる(または逆)

こういうときに必要なのは、用語の暗記ではなく——

「いま起きていることを、証拠つきで切り分けて説明する力」です。


こんな人のためのラボです

本を読んだ。図も見た。用語も追った。

でも、いざ自分のPCで何かが起きたとき、

  • どこを見ればいいか分からない
  • “層”の図は分かる気がするが、手元の状態に結びつかない
  • 何が原因か特定できず、運に任せて再起動してしまう

——この状態から抜け出したい人。


このラボで身につく「実務で使える技術」は何か

このラボのゴールは、次の3つをできるようにすることです。

1) いまの自分のネットワーク状態を「確定」できる

  • 入口:どのインターフェースが使われ、どのIPを持っているか
  • 出口:どこに出ていくか(ルーティング / デフォルトゲートウェイ)
  • 名前:DNSはどこを向いているか
  • 到達:IPで届くのか/名前で届くのか

これを、コマンド出力という証拠で言い切れるようにします。

2) “壊れ方”を層ごとに分類できる

ネットワーク障害は、だいたい次のどこかで壊れます。

  • L2/L3(到達の土台):IFが落ちている、IPが違う、GWがない、ルートが変
  • DNS(名前):IPでなら届くのに名前で届かない
  • TCP(接続):ポートが開いていない、拒否される、タイムアウトする
  • HTTP/TLS(アプリの入口):返るがステータスが違う、TLSで握手できない

そして各層の判断は、次のような観測で“客観化”します(例):

  • IF/IP/Route:ip, route
  • DNS:dig
  • TCP:ss
  • HTTP/TLS:curl -v, curl -vk
  • 必要ならパケット:tcpdump

あなたが現場でやるべきことは、“詳しい理論”より先に
どこが壊れているかを言い当てることです。

3) 証拠の残し方が「型」になる

再現しない問題ほど、証拠が命です。

このラボでは各回、必ず

  • 出力(ログ)
  • 失敗した現象
  • 切り分けの判断ポイント
  • 復旧手順

ファイルとして保存します。
「できた気がする」ではなく、「あとから検証できる」に変えます。


このラボの進み方

このシリーズは、上から順に「切り分けの土台」を作っていきます。

  1. 観測器を整備する(IF / IP / Route / DNS を固定する)
  2. L2/L3を固める(同一セグメントとGW、ARP/ND、ルート)
  3. DNSを観測する(名前解決がどこで壊れるか)
  4. TCPを観測する(接続・ポート・状態)
  5. HTTPを観測する(リクエスト/レスポンスの成立)
  6. TLSを観測する(HTTPSで見えなくなる/握手は見える)
  7. 統合演習:壊して直す(原因を層で言い当てる)

ここまでできれば、IoTの実践、ロボットや生産装置の現場で出てくる
「つながらない」が、怖くなくなります。


最初のセクションでやること

最初は、ネットワークの“理解”ではなく 観測の土台作りです。

  • 入口(インターフェース / IP)
  • 出口(ルーティング)
  • 名前(DNS)
  • 到達(疎通確認)

この4点を、あなたの環境で、証拠つきで固定します。
次の章から「壊して直す」をやるための、いわば 計測器の校正です。


このシリーズのルールとゴール

  • 診断に必要なコマンドを実際に実行し、結果を観測する
  • コマンドの出力を必ず “証拠”(ログ/パケット/コマンド出力)として残す
  • このシリーズのゴールは「HTTP/HTTPSが返る」まで

では、まず 現在地の観測から始めましょう。
セクション1へ進みます。

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